医療事務の派遣スタッフの仕事
医療事務は専門的な事務職でありながら、看護士のように必ずしも専門学校などに通う必要はなく、また資格も必須ではありません。ですから、どなたでも何歳からでも挑戦できる職業と言えます。
とは言え、やはり実際に求人に応募した場合、全く知識や経験がない方に比べ経験者や有資格者が有利になることは言うまでもありません。
医療事務は国家資格ではなく民間の団体が認定している資格で、種類も多数あります。数日間の通学や1〜3ヶ月の通信講座で取得できるものもあるため、これから医療事務の仕事を始めたいと思うなら、スクールや通信教育などで資格を取っておいた方が良いでしょう。
医療事務の派遣スタッフの仕事内容は?
医療事務は、病院やクリニック、診療所、調剤薬局などで働く仕事です。具体的な仕事の内容を見ていきましょう。
窓口業務
医療事務の大切な仕事として窓口業務があります。よほど大きな医療機関で仕事が細分化されている場合を除き、「医療事務」の仕事にはこの窓口業務が含まれることがほとんどです。具体的には、受付、診察券や保険証の確認、カルテの準備、会計、電話応対などを行います。
レセプト作成業務
レセプトの作成は、医療事務のメインとも言える仕事です。
私たちが病院で診療を受ける際、会計で支払うのは診療費の全額ではなく一部です。残りは保険者(健保組合・国保組合など)が医療機関に支払ってくれるわけですが、この保険者に請求するための明細書がレセプト(診療報酬明細書)です。
レセプトは、その月に来院した患者さん一人一人のものを毎月作成して提出する必要があります。小さな診療所などでは手書きで行っている場合がありますが、現在はほとんどの医療機関でレセプト専用のコンピューターに患者さんのカルテを見ながらデータを入力するという方法をとっています。
レセプトは、審査支払機関に提出する前に間違いがないかを厳重にチェックする必要があり、また毎月10日が締め切りとなっています。そのため、月末から月初めにかけては医療事務にとって大変忙しい時期になります。
その他
病院の規模によって異なりますが、医療事務には受付業務、レセプト業務のほかにも様々な仕事があります。
例えば、院内の清掃や準備、院長のスケジュール管理、時には医師や看護師のサポートとして診療補助を行うこともあります。また入院施設がある病棟に勤務する場合は、クラークと呼ばれる患者さんの入院・退院手続きをする仕事を行う場合もあります。
医療事務は、病院やクリニックが円滑に機能するためになくてはならない仕事、いわば縁の下の力持ちのような仕事です。
医療事務の勤務する日や時間帯
医療事務が勤務する時間帯は、医療機関の開院時間によります。勤務日は、大学病院や総合病院などは平日のみというところも多いですが、クリニックや診療所などの個人病院では土曜日勤務があるところも珍しくありません。
ただし、派遣スタッフの場合は、勤務日・勤務時間とも事前に希望を出して交渉することができます。週5日で1日8時間勤務、週3〜4日で1日6時間勤務、病院によっては患者さんの対応に忙しい午前中のみといったシフトで働くことも可能です。
また、医療事務のメインの仕事であるレセプト(診療報酬明細書)作成のため、月末から提出締め切りの10日までの間は、かなりの忙しさが予想されます。この時期は残業が続くこともあるので、あらかじめ自分は残業できるのかできないのかをはっきり示しておく必要があります。
一方で、このレセプト作成時期のみの派遣の仕事もあり、その場合は限られた日数での勤務になります。
医療事務の派遣スタッフの給与
医療事務の採用や待遇について重要視されるのは、実務経験の有無です。したがって実務経験があって即戦力となる方に対しては、給与面での待遇も良くなることがほとんどです。
一般的には医療事務の派遣スタッフの給与は900円〜1500円が平均ですが、経験などを考慮した平均は以下の通りとなります。
一日7時間、月間22日働いた場合の例(単位:円)
時給 | 月給 | 年収 | |
未経験 | 1,000 | 154,000 | 1,848,000 |
資格あり | 1,200 | 184,800 | 2,217,600 |
実務経験あり | 1,500 | 231,000 | 2,772,000 |
医療事務の派遣で働くメリット、デメリット
メリット
- 半日・時短・フルタイムなどライフスタイルにあわせて様々な働き方を選べる
- 病気や薬の知識が身につく
- 体調が悪いとき、勤務先で診察してもらえる
- 実務経験があれば年齢を問わず採用されやすい
- 年間を通して求人数が多い
- 引越し先でも仕事が見つけやすい
基本的な医療事務の仕事内容はどこの医療機関でも同じなので、職場が変わっても戸惑うことなく仕事ができるというメリットがあります。また、経験があれば、妊娠や出産などでブランクがある場合でも復帰しやすいという特徴もあります。
医療機関は全国どこにでもあり、また、なくなることがないので、医療事務の求人は今後も安定していると考えて良いでしょう。
デメリット
- 診療報酬は2年に1度改定が行われるため、常に勉強が必要
- 同じ事務でも一般事務と比べて仕事の内容が専門的であるために、転職の際、融通が利かない
- レセプトの作成時期は残業が続き、かなりの忙しさとなる
また、時短勤務を希望した場合、社員の方がレセプト作業に追われている中帰るのは気が引けるといった問題もあります。
医療事務の派遣の仕事がオススメな方
医療事務の仕事は、毎月期限までに正確にレセプトを作成しなければならないため、迅速で丁寧な事務能力が必要になります。
また、医療事務は「病院の顔」として患者さんと触れ合う機会の大変多い仕事です。何かしら具合の悪いところがあって来院する患者さんの心が少しでも軽くなるよう、思いやりのある言葉遣いや対応ができるコミュニケーション能力も大変重要になります。このようなことをふまえ、医療事務の派遣の仕事がオススメなのは次のような方です。
- 医療事務経験がある(ブランクがあっても可)
- パソコンの基本操作ができる
- マメな性格
- 人当たりが良く、思いやりがある
- 気が利く
- 新しいことを覚えることが苦にならない
- 人と接する仕事が好き
- 医療に関心がある
- ライフスタイルに合わせて働き方を選びたい
- ご主人の転勤などで引っ越しに伴う転職がある
派遣で働くのとパート・アルバイトとどっちがいい?
医療事務で働く場合の、それぞれの特徴を挙げてみました。
派遣
- 条件に合った職場を探してもらえる
- 勤務曜日や時間、期間を選べる
- 勤務条件などの交渉は全て派遣会社にしてもらえる
- 時給はパートやアルバイトに比べて高い
- 将来への安定性は低め
- 基本的に交通費・退職金・ボーナスはない
パート・アルバイト
- 残業はほとんどない
- 短時間の勤務が多い
- 未経験OKの募集も多い
- 時給は派遣に比べて安い
- 賞与や退職金はないが、交通費全額支給の求人多い
- リストラの対象になりやすい
派遣スタッフの場合、“残業はしたくない”、“子どもが小さいので時間は短めに”など、個人ではなかなか言いづらいことを派遣会社が勤務先に交渉してくれるため、アルバイトよりも好条件で働けることが多いようです。
ただし、派遣スタッフは即戦力になるかどうかが重視されるため、全くの未経験の方の場合、まずは未経験OKのアルバイトやパート勤務で経験を積んでから派遣として働くというのも良いかもしれません。
派遣に登録すれば就職活動が短縮できる
派遣会社のメリットは、条件や希望に合った仕事を担当者が探してくれるということです。転職サイトや情報誌などで自分で就職活動するよりもずっと早く、良い条件で仕事に就くことができるでしょう。
また、大手の派遣会社では、スキルアップやキャリアアップのためのサポート体制が整っています。紹介された勤務先で働きながら研修や講座を受けることで、資格取得やスキルアップを目指すことができます。
医療事務の仕事を探すのにオススメの人材派遣会社
テンプスタッフ
テンプスタッフは、女性やママの働き支援に力を入れている会社です。求人件数は国内トップクラスであり、医療事務においても地域ごとの主要な病院やクリニックへの派遣を扱っています。社会保険制度や健康診断・有給休暇など福利厚生が充実しており、お給料日が月に2回あるのも魅力です。
アデコ
全国に事業所をもつ大手の派遣会社です。大手企業や優良企業を多く扱っていますが、医療事務の分野でも“未経験可”、“短時間OK”、“有名大学病院勤務”など様々な求人があります。紹介予定派遣や、非公開求人が多いのも人気の理由です。
パソナ
同じく全国展開の大手派遣会社です。医療事務の仕事の取り扱いも多くあるほか、サポート体制に定評があります。スキルアップのための講座や、24時間相談可能な窓口など、初めて医療事務に挑戦する方にも心強いサポートが期待できます。
スタッフサービス・メディカル
医療機関の求人が専門の転職・派遣情報サイトで、資格なし・未経験歓迎の求人に力を入れています。実際、スタッフメディカル・サービスで介護・看護・医療事務の仕事に就いた方の55%は、前職が他業界という結果が出ています。
また年齢を問わない求人も多数扱っているため、中高年の方でも働くチャンスが大いにあります。自宅から徒歩で通える場所など、勤務地の希望が出せるのはもちろんのこと、時短勤務や残業なし、平日のみ勤務などの条件で選べるため、子育て中のママにもオススメです。
まとめ
正社員、パート、アルバイト、派遣と様々な勤務体系があり、ライフスタイルに合わせて働き方が選べる医療事務は女性に人気の職種です。
派遣で働くことの一番のメリットは、勤務条件などの交渉を具体的に派遣会社に行ってもらえることです。実務経験を積んで即戦力となることができれば、自分の希望に合った満足な働き方ができるでしょう。
医療事務が初めての方は、まずは資格を取ってみてください。資格を持っているということが熱意として伝わるだけでなく、そこで得た知識は必ず初めての医療事務の勤務に役立ちます。
様々な働き方ができる医療事務は、結婚や出産などでブランクがあっても再就職しやすい仕事です。年齢も関係ないどころか、逆に経験があれば給与面でも優遇されますし、全国どこでもニーズがあるので引越しが多い方でも就職先に困りません。
一度始めれば長く勤めることができ、経験を積むほどに活躍の場は広がります。医療の現場でなくてはならない仕事としてやりがいを感じることもできるでしょう。医療事務は、女性にとって大変オススメできるお仕事と言えそうですね。